○これまでの人生を、第二の人生に生かそう


定年は、老後の始まりではありません 経験を生かした第二の人生の始まりなのです


北九州市小倉南区で多角的なビジネスを展開する「ムーン株式会社」代表の篠原秀博氏に、定年後起業をして活躍されているシニア世代として、そのバイタリティの源はなにか、お話を伺った。


<定年後のんびりするはずが起業して走り回っています>

日本人の平均寿命が年々伸びていき、世界有数の長寿国となっています。定年の延長も施行はされていますが、定年後の人生の過ごし方はこれからの日本人の課題になっていくのではないでしょうか。年金や保険などの社会保障制度にも陰りが見え、「定年後の生活が不安…」、「定年を迎えてからでは何もできない…」等、不安をもつ人が多くなっています。そんな中、 「ムーン株式会社」代表の篠原秀博氏は、定年退職後すぐに、自動車を使った新しいビジネスモデル、古物部門、資産運用コンサルティング等の事業を立ちあげたアクティブ・シニアです。


「大手自動車メーカーで二輪関連の仕事にたずさわった後、定年退職とともに平成23年2月17日に、『ムーン株式会社』を設立しました。都心で自動車を使った新しいビジネスが普及しつつあるということを知り、調べてみると魅力があるビジネスだと、事業を立ち上げたのです。定年後はゴルフやテニスでもと思っていましたが、新しく事業を立ちあげるとなると、のんびりしてられないと思いました。これから『定年後起業』は新しい流れになってくるのではないでしょうか」と、篠原代表は起業のきっかけを話します。


<経験や知識を生かせる第二の人生を>

新会社法ができてから以前より起業しやすくなっていますが、シニアの起業には、もっと利点があると篠原代表はいいます。


「再就職したとしても給料は安くなります。それ以前に仕事が無い。定年後、再就職を求める方は増え続けますし、競争率も増加するでしょう。若い人ですら仕事にあぶれているご時世なんです。それだったら起業した方が良いかもしれない。我々シニア世代は、長く企業に勤め専門的知識が豊富にあり、ある程度の資金が自己調達可能、仲間などの人脈もある。そうした強みは、若い人より有利ともいえます。そして事業主になってしまえば定年はないのです。また、仕事を続けるのは経済的理由以外にも、社会とつながっていたいというのはありますね。あるシンクタンクの団塊の世代へのアンケート調査に、定年後働きたいという動機には『生きがい』や、『やりがいのため』、『社会に貢献したい』が上位を占めていました」


その篠原代表のバイタリティは、どこから来るのでしょうか。


「小さい頃から自然児で屈託がなかったのです。私は福岡県の小倉市に生まれ、幼少の頃は家で飼っていたチャボと戯れたり、縁側から飛び降りて骨折したり……。まあ、やんちゃだったのですな。小学校の頃は山で野鳥に罠を仕掛け、木の上に隠れ家を作ったりしていました。雪が降ると父の本格的な手製のソリで遊ぶのが何より楽しく、夕食の時間も忘れて遊んでいました。そして高校をでてから、本田技研鈴鹿製作所に入社、定年まで勤め上げ、会社の設立に至ったのです。この定年は、私の人生においては老後への一里塚ではなく、第二の人生の始まりと考えています。我々シニア世代は意欲、気力、体力、技術もまだまだあるのです。自分のこれまでの経験を生かしての起業で、より充実した生活を送ることができるのではないでしょうか」


「ミスターパートナー2013年3月号」ミスターパートナー社刊


出典: 2015年3月6日 ~ ASAKAMIZUHO




★現役を貫く

現代の60才というのは体力的にも知力の面でもまだまだ若々しく、企業の戦力として貴重な存在であるのは間違いありません。しかし、いまなお60才定年という企業が大半です。

雇用延長を希望したとしてもせいぜい65歳まで引き延ばすのが限界でしょう。

年金受給開始年齢が上がった現在では収入面で働き続けることが必要となるケースが多くなりますが、仕事にやりがいを感じ、もっと続けていきたい、続けていける体力もあるという方もたくさんいることでしょう。

そうした現役を貫きたいという方が仕事を続けていくにはどんな方法があるでしょうか。


・フリーランスで働く

フリーランスで働く 今まで会社で培ってきた専門技術や能力を生かし、定年後もフリーランスで働く事例が増えています。雇用されていた時代とは違い一定の収入が保障されないというリスクがありますが、企業から安定した量の仕事を請け負える場合は、これまでと変わらない収入を得ることも可能です。

経験豊富な人材と契約を交わし、年齢ではなくその仕事の量と質に応じて報酬を支払うしくみは企業の側からみてもメリットは大きいといえます。

フリーランス契約という形で60才以上の人材を求める企業は年々増えています。

経理や技術などの専門職はもちろんのこと、営業職の定年退職者とフリーランス契約を結ぶ会社もあります。

営業職に関しては業界が違っても、その仕事内容には共通点が多いことから異業種においてもそのスキルを生かすことが可能です。


・スキルを活かして起業する

高い専門技術を持つ人は起業する際も堅実な経営を実現しやすいといえます。

時計メーカーに技術者として勤務していたSさんは60才定年を機に、ハードディスクの超薄型モーターを開発・販売するベンチャー企業を設立しました。

Sさんは人件費の削減で精密機器の製造が海外へ移行し、空き工場が増えているところに目をつけました。空き工場内の使える製造ラインを借り受け、そのうえで開発した新型の機器を設置してモーターの製造を開始し、現在も安定した経営を続けています。


・再就職先を見つける

再就職といえばハローワークを利用することを最初に考える方が多いでしょう。もし、そこで仕事が見つからない場合、高齢者の就職支援を専門に行う公的機関を利用する手もあります。専門の機関なので、効率のよい就職活動が可能です。

<独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構>

高齢者の就職支援や企業に対する高齢者雇用の助成活動などを行う団体です。就職に関する相談、起業に関する相談、資格取得情報の提供、ボランティアに関する相談も受けています。この組織が管轄する「高齢・障害者雇用支援センター」は各都道府県に1か所ずつ配置されています。

<行政が行う高齢者就労支援>

名称はさまざまですが、高齢者の就職あっせんを行っている自治体管轄の組織もあります。


・技能を生かしてマイペースで働く

趣味や家族との団らんを楽しみながらマイペースで働きたい方には 「シルバー人材センター」 の活用をおすすめします。基本的に単発の仕事で不定期のあっせんなので、収入はおこづかい程度と考えた方がよいです。

手続きをして会員になったら、センターに依頼のあった仕事の中から適当と思われるものをあっせんされます。

仕事内容は宛名書き、植木の手入れ、各種教師、パソコン指導、植木の剪定、経理事務など多岐にわたります。特別な技能がなくてもできる仕事もあるので、健康であればだれでも仕事を得ることができるでしょう。


出典: 中年期から考えたい。定年後の充実した人生