公的年金は全国民共通の横断的な国民年金、民間のサラリーマンやOLが加入する厚生年金、公務員や市立学校教職員が加入する共済年金からなっています。
(1)国民年金
国民年金は基礎年金とも言われ、公的年金の1階部分になり、厚生年金、あるいは共済
年金はその上に乗る形で2階部分になります。
サラリーマンは給料から厚生年金だけが天引きされているため「国民年金には入っていない」と思っている人も結構いるようですが、実は厚生年金の天引の中に国民年金保険料も入っています。
■ いつからもらえる?
「老齢基礎年金」(国民年金から支給される老後の年金)が支給されるのは65歳からです。年金保険料を合計25年以上納めていればもらえます。
■ いくらもらえる?
満額(20~60歳の40年)で792,100円(年間)ということは月に約6万6千円ですね。
40年で約80万ということは1年当り2万円の計算になるわけで、25年納めた人は約50万円ということになります。
この法律が定着すれば、とりあえず65歳までは今の会社に残る道は確保されること になり、今まで変わらない仕事を続けたいと思う人にとっては朗報といえるでしょう。
■ 減ってもいいから早く受取りたい
という人のために繰上げ受給という制度があります。1ヶ月当り0.5%減る計算なので、1年で6%の減となります。
ということは、60歳からもらうと5年(60ヶ月)で何と30%の減になります。
しかも、一度そのように決めると後で変更は効きませんので、以降ずっと30%減の金額が死ぬまで続くことになります。
しかも、障害者や寡婦になっても障害基礎年金や寡婦年金が支給されなくなります。なので、できれば65歳まで頑張った方があとあとのためにはいい、ということになります。
(2)厚生年金
厚生年金は民間のサラリーマンやOLが老齢基礎年金の上乗せとしてもらえる年金です。
■ いつからもらえる?
もともとは「老齢厚生年金」として60歳から支給されていました。しかし昭和61年
4月の年金制度改革により受給開始年齢が段階的に引き上げられることになりました。
そこで経過措置として、65歳まで期間限定の年金を支給することにしたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。これには「定額部分」と「報酬比例部分」とからなっています。
「定額部分」は65歳からの老齢基礎年金に該当します。「報酬比例部分」は65歳からの老齢厚生年金に該当します。具体的には以下のようになります。
■ いくらもらえる?
老齢基礎年金に上乗せされて支払われる老齢厚生年金は、平均標準報酬額、生年月日別支給乗率、保険料を納めた月数によって計算します。
しかし老齢厚生年金の算出はかなり複雑なものとなっているので、目安だけご紹します。
1.男性で平均的な給料、女性でも男性並みの給料をもらっていたという方は、加入1年当り3万円
2・人並みよりも稼いでいたという方は加入1年当り4~5万円
3.若いときに数年のOL経験や再就職で低い給料で働いていた女性は加入1年 当り1万円
4.正社員である程度の昇給をしながら長く働いたという女性は加入1年当り2万円
5.40年間事務職として働いてきた平均的な男性は、老齢基礎年金と合わせて 年間200万円
6.短大卒業後比較的恵まれた職場で定年まで40年間事務職として働いた女性は 年間160万円
■ もっと詳しく知りたい
という方は、日本年金機構(旧社会保険庁)のHPで調べることができます。
. 「年金Q&A」
. 「『ねんきんネット』サービス」
. 「年金見込額試算」
. 「年金加入記録照会・年金見込額試算」
. 「年金見込額試算の受付」(50歳以上)
年金見込額試算は50歳以上の方を 対象と しています
基礎年金番号の入力が必要となりますので、予め総務部などで自分の番号を確認しておくことが必要になります。なお、結果は社会保険庁から郵送されます。
(3)年金その他
■ 加給年金
あなたの奥さんが年下だとしますと、あなたが65歳になっても奥さんが65歳になるまであなた一人分の年金しかもらえないことになります。またその時まだ高校生とか中学生の子供がいたとしたら、それも厳しいですよね。
そこで、一定の要件を満たすことで一定の額が支給される加給年金という上乗せ制度が用意されています。これは一定の配偶者や子供がいることで受け取れる上乗せ年金であることから「家族手当」のようなものと理解しておくといいでしょう。
その要件とは、簡単にいうと
①厚生年金の加入期間が20年以上である
②家族は65歳未満の配偶者や18歳の年度末までの子供がいる
③配偶者の前年年収が850万円未満(※)
※ ただし、850万円以上でも、5年以内に定年退職などで850万円未満になることが明らかな場合には850万円とみなされます。
■ 「振替年金」
上記の加給年金をもらっているうちに妻が65歳になったとします。すなわち老齢基礎年金が受給されるようになると、そのときから夫の加給年金はなくなり、代わりに妻の老齢年金に振替加算がつくようになります。つまり振替加算とは、夫の年金についていた加給年金が妻の年金に振り替わるのです。
■ 「在職老齢年金」
60歳以上で、会社に在職して厚生年金に加入している人(被保険者)に支給される年金を「在職老齢年金」といいます。平均報酬月額によって年金の一部や全部が停止となる場合があります。ただし、会社に勤務していても、非常勤やパートなど厚生年金に未加入の場合には、年金の削減や停止はありません。
以前は、厚生年金に加入できるのは65歳未満まででしたが、平成14年4月から70歳未満までに引上げられたため、現在の在職老齢年金は「65歳未満の在職老齢年金」と「65歳以上の在職老齢年金」の2種類があり、それぞれに計算方式
が違っています。
≪65歳未満の在職老齢年金≫
月収(総報酬月額相当額といって1か月分の給料+過去1年の賞与を12で割った金額)と、1ヶ月当りの年金の合計額。これが28万円を超えていなければ老齢厚生年金の報酬比例部分が全額支給されます。
ところがこれが28万円を超えたら、超過した分の半分が減額されて支給されます。
例えば、月収30万円、報酬比例部分の年金の基本月給が8万円の人の場合はどうでしょう。
30万円+8万円=38万円
38万円-28万円=10万円
10万円÷2=5万円
基本月額8万円-5万円=3万円
(つまり5万円減額され、3万円が 在職老齢年金の額となります)
≪65歳以上の在職老齢年金≫
65歳以上になるとどんなに月収が多くても老齢基礎年金は全額もらえます。
さらに、老齢厚生年金と月収の合計が48万円以下であれば在職老齢年金は全額もらえます。
ところがこれが48万円を超えたら、超過した分の半分が減額されて支給されます。
■ 国民年金基金
国民年金基金制度は、自営業者などの国民年金の第1号被保険者のための、
国民年金(老齢基礎年金)の上乗せとなる制度です。
サラリーマンなどの第2号被保険者は、もともと国民年金に上乗せして厚生年金に加入しているので、国民年金だけにしか加入していない自営業者などの国民年金の第1号被保険者とでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。
そのため、この差を解消するための制度として国民年金基金制度は創設されました。
国民年金基金には「地域型」と「職能型」の2種類があります。
「地域型」は各都道府県にあります。「職能型」は、定められた事業などに従事する
人が加入できるものです。両方とも制度の内容は同じで、どちらか一つにしか加入できません。
国民年金基金のかけ金は、国民年金と同じく社会保険料控除の対象となるなど優遇措置があり、自営業の方には大変有利な制度です。
■ 厚生年金基金
厚生年金基金は、厚生年金の老齢給付の一部分を国に代行して運営し支給をする、という制度で、企業年金の一つです。
厚生年金基金は、政府代行として支給される部分に加えて、各基金ごとに定められた独自のプラス・アルファを加えた年金を支給することを条件に厚生労働大臣の認可を受けている年金制度です。
このプラス・アルファ部分の内容は各基金によって大きく異なっていて、例えば、酬比例部分の年金額を1000分の0.1程度上乗せしたものや、退職金制度厚生年金基金に組み込んだものなど、給付の水準が各基金によって違っています。
加入は、個人でではなく企業や組合などの単位が行うもので、加入している会社の社員は(経営者や役員などを含む)全員が加入することになります。
【日本年金機構のホームページ】 http://www.nenkin.go.jp/index.html
出典: アクティブシニアのための生き生きセカンドライフのすすめ
ねんきん定期便は自分の年金加入記録が記載されたとても重要な書類です。
毎年ねんきん定期便がくるので、何となく見ている人や中には見ないで捨ててしまっている人もいるかもしれませんが、将来年金がいくらもらえるかは老後のお金を考える上ではとても大事で、1年に一度はチェックしておきたいものです。
どこを見たら良いかよくわからないという方のために、ねんきん定期便の見方やチェックポイントを紹介します。
★ねんきん定期便(はがき版)のチェックポイント
ねんきん定期便は35歳、45歳、59歳という節目の年齢を除くと、はがきで毎年送られ、以下の事項が記載されています。
■ねんきん定期便の記載事項
・年金の加入期間
・年金の見込額
・保険料の納付額
・最近の月別状況
基本的には上記の記載内容を順に確認していき、自分の認識と間違いがないかを確認することです。
■年金の加入期間
これまでの年金加入期間を確認することができます。自営業から会社員、会社員から公務員など被保険者区分が変わる転職をしている人はそれぞれの制度の加入期間に誤りがないか確認しておきましょう。
また会社員の妻の専業主婦の人は、第3号被保険者になっています。第3号被保険者は保険料負担はありませんが、保険料納付済み期間にカウントされていますので、第3号被保険者の人は自分の加入期間が正しいか確認しましょう。
■年金の見込額
これまでの加入実績に応じた年金の見込み額が記載されています。
上記は50歳未満の人の例ですので、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。20代、30代の人であればかなり少ない金額が表示されますが、今後の報酬などを織り込んでいませんので気にしすぎる必要はありません。
なお、50歳以上の人の場合は、加入中の年金制度にそのまま加入し続けた時の年金額が記載されていますので、50歳以上の人は見込みの年金額としてよくチェックしておきましょう。
■保険料の納付額
これまでの保険料納付額を確認することができます。記載された金額に大きな認識の違いがあるかどうかを確認しておきましょう。
学生納付特例などを利用している場合は、年金受給資格期間には含まれますが保険料は納付していませんので、納付した保険料の額には当然含まれません。
■最近の月別状況
直近の月別の保険料の納付状況を確認することができます。
国民年金は納付状況、厚生年金は標準報酬月額や標準賞与額、保険料納付額を確認することができます。
厚生年金に加入している人は自分の標準報酬月額が確認することができます。国民年金に加入する第1号被保険者、第3号被保険者の人は保険料の納付状況を確認します。
第1号被保険者、第3号被保険者の保険料納付状況は保険料納付済みの場合は「納付済」、保険料を納めていない場合は「未納」などと記載されます。
■国民年金(第1号・第3号)納付状況の記載内容について
・納付済 保険料を納めた期間
・未納 保険料を納めていない期間
・3号 第3号被保険者の期間
・全額免除 保険料が全額免除の期間
・半額免除 保険料が半額免除され、残りの半額を納めた期間
・半額未納 保険料が半額免除されたが、残りの半額を納めていない期間
・3/4免除 保険料が3/4免除され、残りの1/4を納めた期間
・3/4未納 保険料が3/4免除されたが、残りの1/4を納めていない期間
・1/4免除 保険料が1/4免除され、残りの3/4を納めた期間
・1/4未納 保険料が1/4免除されたが、残りの3/4を納めていない期間
・学生特例等 学生納付特例または若年者納付猶予が認められた期間
・付加 付加保険料を納めた期間
・合算 国民年金の任意加入期間のうち、保険料を納めていない期間
・未加入 20歳以上60歳未満の期間のうち、どの年金制度にも加入していなかった期間、または共済組合等に加入していた期間
・第3号被保険者になった年や、免除制度を利用した時などは加入内容に間違いがないか確認するようにしましょう。
文章にすると長いですが、確認ははがきを眺めて各内容に間違いや大きな認識、記憶違いがないかを確認していけば良いだけです。年金の加入状況は積み上げてきた自分の歴史を見るようで、見ているとだんだん楽しくなるものですので、1年に一度はきちんとチェックするようにしたいですね。
出典: スッキリ年金&老後のお金
■年金記録をインターネット上で確認できる「ねんきんネット」
国民年金や厚生年金の加入記録は1年に1度送付されるねんきん定期便以外にも、「ねんきんネット」を利用することで24時間いつでもどこでもインターネット上で確認をすることができます。
■国民年金や厚生年金の加入記録は「ねんきんネット」を利用することで確認できる
ねんきんネットでは、国民年金や厚生年金のこれまでの加入記録がわかり、国民年金保険料を納めていない期間や厚生年金の標準報酬月額に変動があった月などがわかり、年金に関するあらゆる情報を参照することができる便利なサービスです。
■ねんきんネットでできること
ねんきんネットでは加入記録の確認の他にも以下のことができます。
■ねんきんネットでできること
・国民年金・厚生年金保険・船員保険の加入履歴の確認
・国民年金保険料および国民年金付加保険料の納付状況
・厚生年金保険に加入していたときの会社名、標準報酬月額、標準賞与額
・年金見込額の試算
・追納・後納等可能月数と金額の確認
・電子版「ねんきん定期便」の確認
・各年金への加入履歴の確認
ねんきんネットでは公的年金への加入履歴のほかに、これまでの保険料の納付状況や厚生年金、船員保険に加入している場合には会社名や標準報酬月額、標準賞与額が確認できます。
そのため、保険料の納付状況や国民年金保険料の未納期間などの情報が一目でわかります。免除制度や学生納付特例を使用している場合にはその情報も記載されています。
経済的に苦しいときには国民年金保険料の免除制度を活用する
また、厚生年金の加入記録を見ることで、これまでの職歴やおおよその給料まで確認をすることができます。
■年金見込額の試算
さらに、将来の年金の見込み額の試算をすることもできます。
年金の支給額はこれからの職業や収入によっても異なりますので、あくまで試算ですが、このままの状況だと自分がいくら年金をもらえるのかを確認することができて便利です。
年金見込額の試算には、質問に答えるだけでおおよその年金額を試算してくれる「質問形式」と、条件を一覧から選択して試算をする「一覧形式」があります。
詳細な試算ができるのは一覧形式ですが、とりあえず簡単に年金見込み額を知りたいという方はまず質問形式で試算をしてみると良いと思います。
出典: スッキリ年金&老後のお金
失敗が許されないことだから必読です! 「10分で分かる 退職金の賢い使い方と管理方法」
❶退職金の賢い使い方
❷退職金使い方の失敗例
❸よくある失敗
❹こんな珍しい使い方
❺よくある管理方法
❻こんなことに注意しよう
❼おすすめ管理方法
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