○税金について


退職後の税金の賢い節税法

≪退職金の性格≫

退職金にかかる税金は所得税と住民税です。退職金は長年の働きに報いた給料の後払いという性格を持っていますので、退職金所得控除や他の所得と分離して課税

されるなど税制面で優遇措置が設けられています。

 

■ 退職金は分離課税される

退職者が退職金を一時金で受取る場合、所得税の区分は「退職所得」として扱われます。他の所得とは分離して所得税を計算する「分離課税方式」となるため他の所得と合算するより税率が低くなってその分税金が安くなります。

 

また住民税は通常の場合、その年の所得に対して翌年納めますが、退職金の住民税は現年課税といって、退職金を受け取ったとき、退職金から差し引いて、その年に納める仕組みになっています。


■ 退職所得には勤続年数に応じて退職所得控除が適用される

  退職所得控除の計算式は次の通りとなります。 

 (収入金額-退職所得控除額※)×1/2=退職所得の金額


※退職所得控除額について

勤続年数 控除額

20年まで 40万円×年数

20年超の部分 800万円+70万円×年数 

・ 1年未満の端数は1年に切り上げ

・ 障害者となったことが原因で退職した場合は100万円を加算

  退職所得の金額×税率=所得税額(2007年分から)


所得税・住民税の速算表(平成19年分以降)  

課税所得金額 税率  控除額

(所得税)

  195万円以下 5% 0

  195万円超330万円以下 10% 97,500円

  330万円超695万円以下 20% 427,500円

  695万円超900万円以下 23% 636,000円

  900万円超1800万円以下 33% 1,536,000円

  1800万円超  40% 2,796,000円

(住民税) 10% なし

≪例≫勤続35年、退職金2000万円の場合の所得税・住民税

    【退職所得控除額】

     800万円(40万円×20年)+70万円×(35年-20年)=1850万円

    

    【退職所得金額】

     (2000万円-1850万円)×1/2=75万円

     

     ●退職金にかかる所得税

       75万円×5%=37,500円


     ●退職金にかかる住民税

       75万円×10%×90%(※)=67,500円


    ※ 退職所得に対する住民税は一般の場合に比べ、10%軽減されています。



■ 公的年金にも税金がかかる?

年金を受取る場合は所得税と住民税がかかります。受取った年金額から公的年金等控除額を差し引いた金額が雑所得として課税されます。

 

公的年金のうちでも傷害年金や遺族年金に対しては税金はかかりません。 

  

≪課税金額の計算方法≫

公的年金を受取ると、その金額から「公的年金控除額」を差し引いた金額が雑所得として課税されます。


(年齢65歳未満の人)

年金収入  公的年金等控除額

130万円以下  70万円

130万円超~410万円以下   年金収入の25%+37.5万円

410万円超~770万円以下 年金収入の15%+78.5万円

770万円超~  年金収入の5%+155.5万円


(年齢65歳以上の人)

年金収入 公的年金等控除額

330万円以下 120万円

330万円超~410万円以下  年金収入の25%+37.5万円

410万円超~770万円以下  年金収入の15%+78.5万円

770万円超~  年金収入の5%+155.5万円

≪例≫公的年金を年300万を受給している現在64歳のAさんの場合

 

    公的年金控除額=300万円×25%+37.5万円=112.5万円

    Aさんの雑所得=300万円-112.5万円=187.5万円

 

    この雑所得金額187.5万円が課税対象となります。

 

■ 公的年金は基本的には源泉徴収される

公的年金を受取るときは、原則として収入金額から年齢に応じた控除額を差し引いた額に10%を掛けた税額が源泉徴収されることになっています。

 

ただし平成19年1月1日以降に受取る特定公的年金(「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出したうえで受ける公的年金など)については、5%を掛けた金額になります。


出典: 生き生きセカンドライフのすすめ




税金の手続き

■源泉徴収票を受け取る

定年退職後の税金の準備

○「退職所得の源泉徴収票」を受け取る

退職金を支給されたら「退職所得の源泉徴収票」を受け取ります。

 

なお、退職金の支給を受ける際には「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、確定申告をする必要はありません。

  

この申告書を提出しない場合は、退職金に対し一律20%の所得税が源泉徴収されますので、退職後「退職所得の源泉徴収票」により自分で確定申告をしないと還付を受けられません。

  

○「給与所得の源泉徴収票」を受け取る

給与所得の源泉徴収票が、最後の給与の支払い後、または年末調整の時期に会社から郵送されてきます。

 

ほとんどの方は、定年退職した初年度に確定申告をすると税金が戻ってくる場合が多いと思いますので大切に保管しておきます。

 

 ■所得税の確定申告をする

定年退職後の初年度については、ほとんどの方が確定申告をすれば税金が戻ってきます。

 

例えば3月末で定年退職した場合は、1月分から3月分までの所得税を源泉徴収(給料天引き)で納めています。

  

所得税は、所得が一定以上の方に対して課税されるので、定年退職して4月から12月に収入がなかった場合は、納めていた1月分から3月分までの所得税を納付しなくてよいことになり、確定申告をすることで納めた税金が戻ってくるのです。

 

 退職日が12月末日であれば、会社側で年末調整を行って所得税の精算を行っていますので確定申告の必要はありません。

 

また、年末調整をしなかった場合でも、年内に再就職した場合は、新しい会社で年末調整をすれば確定申告の必要はありません。

 

 さて、今後確定申告が必要になってくるかどうかですが、所得税は何らかの収入を得た場合にかかってきます。

今後の主な収入源である年金は一定額が源泉徴収(年金受給時に天引き)されるので、原則として確定申告の必要はありません。

  

しかしながら、収入源が年金だけの方も、次のような場合は税金が戻ってくる場合がありますのでその都度確定申告をしましょう。

 

・医療費を多く支払った場合

・自然災害等の被害があった場合

・社会保険料・生命保険料・地震保険料を支払った場合

・扶養親族等申告書を提出していない場合     など

 

※雇用保険の失業給付には税金はかかりません。

確定申告の際には、収入に含める必要はありません。 

 

また、次のような年金以外の収入がある場合には、確定申告が必要になりますので参考にしてください。 

・給与収入を受けた場合

・個人事業を営んでいる(開業した)場合

・不動産等を売却した場合   など

 

<確定申告の仕方>

①必要書類をそろえる

源泉徴収票(公的年金、給与など)

控除証明書(生命保険など)

必要経費を証明する書類   など

税務署にて配布されている確定申告書の用紙(手書きする場合) 

 

②申告書の作成

国税庁のHPで入力を行い、申告書を作成することができます。

 

所轄の税務署に必要書類を持参して、税務署の職員の指示でパソコン入力することで申告書を作成することができます。

最寄りの市区町村役場でも、説明会及び申告を受け付けています。

  

③税務署に提出

2月16日~3月15日の間に、所轄の税務署に提出します。 

 

■住民税の納入通知書が送付される

住民税は今まで会社が給与から天引き(源泉徴収)して納めていましたが、今後は納入通知書により自分で支払期限までに支払うことになります。 

 

退職の翌年6月に自宅に住民税の納入通知書が送付されてきますので、その納入通知書に従い納入するようにしてください。

 

再就職した場合などは、これまでどおり給与からの天引き(源泉徴収)になります。


出典: 定年退職後の手続き




非課税で運用するなら401kやNISAを活用して節税メリットを最大化

運用をする上で税制優遇があるかはとても重要ですので、誰もができれば非課税で運用をしたいと考えていると思います。


非課税で運用したいという人にとって心強い味方になるのは、税制メリットの大きなNISA(ニーサ)や401kといった商品です。


ここでは非課税で運用をする効果や節税メリットの大きさについて見ていきたいと思います。


■非課税で運用をする効果

運用益が非課税になると、長期的に見るとかなり効率的に運用を行うことができるようになります。


運用益にかかる税金は金融商品によって異なりますが、株式投資の場合は運用益に対して一律20%の税金がかかります。


そのため株で運用益が100万円出ている人の場合、普通に課税がされると手元に残る利益は80万円ですが、非課税で運用ができれば100万円が手元に残ることになります。


1年だけでも20%違うと大きな違いになりますが、長期間投資をしていると利益は翌年の元本になりさらに利益を生む「複利」によって運用されますので、運用期間が長くなればなるほど運用結果は大きな差になってきます。


仮に毎年50万円を積み立てて、年利5%で運用をした時に20%課税される場合と非課税の場合、各運用期間における資産額は以下の通りです。


■20%課税と非課税の場合の運用期間ごとの資産額の差

運用期間 20%課税 非課税 差額

5年 279.3万円 287.0万円 7.7万円

10年 621.4万円 656.4万円 34.9万円

15年 1037.7万円 1127.9万円 90.1万円

20年 1544.2万円 1729.6万円 185.3万円

30年 2910.1万円 3477.7万円 567.5万円

非課税で運用するなら401kとNISAを活用


非課税で運用できる商品には401kとNISAがあります。


401kは確定拠出年金のことで、自分で運用の指示を行う年金制度です。勤務先の企業が加入している場合は企業が退職金代わりに401kに拠出をしてくれていて、勤務先の拠出分に上乗せして拠出をする「マッチング拠出」をすることもできます。


■確定拠出年金のマッチング拠出の概要と節税効果

自営業の人や勤務先の企業が401kに加入していない場合は個人型の401kに加入することもできるので、ほとんどの人が401kに加入することができます。


401kは拠出したお金が全額所得控除され、運用によって出た利益は非課税、60歳以降にお金を受け取る際にも年金で受け取る場合は公的年金等控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除を受けることができるので、拠出時、運用時、受取時のすべてのタイミングで税制優遇を受けることができる大変有利な商品です。


また、NISAは少額投資非課税制度のことで、年間100万円の出資分は運用益が非課税になる税制優遇制度です。主に証券会社などでNISA口座を開設することができ、株式投資、投資信託などの運用益が非課税になります。


年間100万円の枠(上限)がありますが、非課税になる利益には制限がありませんし、毎年100万円の枠がありますので、少額の投資をする人にとってはまず活用したい制度です。


どちらも投資から出た利益が非課税になるので、普通に運用をするよりもかなり有利に運用をすることができます。


なお、投資するお金が潤沢にある場合にNISAと401kのどちらに投資しようか悩むこともあると思いますが、結論から言うと基本的にはNISAに投資をしてNISAの枠がいっぱいになったら401kに投資をすると良いと思います。


401kで積み立てをしていると、原則途中解約ができないので、401kに拠出したお金は老後専用のお金になります。一方でNISA口座のお金は自由に入出金可能です。


人生何があるかわかりませんので、何かあった時に自由に入出金できるのは大きなメリットです。ですので、NISAの投資可能枠の100万円まではNISAに投資をして、NISAでの投資可能枠を超えた金額分を401kのマッチング拠出を行うようにしましょう。


401kは拠出したお金が所得控除されるというNISAにはない税制優遇がありますので、節税メリットを最大限受けたいという人は最初から401kに投資するのも良いと思いますので、自分のニーズと相談をして決めるようにすると良いですね。


出典: スッキリ年金&老後のお金