めざせ年収1000万! 起業は「臆病」なほうがうまくいく?

 

起業家はむしろ「臆病で普通」の人ばかり!?

「起業」というと、多くの人が「特別な人だけができること」「自分には無理」だと考えるだろう。しかし、多くの起業家を支援してきた今井孝氏は「むしろ臆病な人ほど起業に向いている」「実際に起業をするかどうかは別にして、起業を目指すことは今の自分の仕事にも役立つ」と言う。そんな「起業の現実」についてうかがった。

* * *

起業という言葉を聞くと、
「画期的なアイデアが必要では?」
「大きな投資が必要では?」
「よっぽど強いメンタルがいるのでは?」
などなど、遠い世界のように思う方も少なくありません。
しかし実際は、多くの起業家は普通の人間です。
飛びぬけて才能があるようには見えなくても、普通に起業して、そこそこ稼ぎ、自由を謳歌している人はたくさんいます。
サラリーマンと違い、給料は頑張れば増えていくので、年収1,000万円という人もチラホラいます。
普通の人なので特別なことはしていません。できる範囲で、できることから小さく行動しているだけです。どちらかと言うと臆病な人たちと言っても良いかも知れません。
また、多くの人がありきたりのアイデアで起業しています。やっているうちにその人なりの味が出てきて、気に入ってくれる固定客がつくと、小さなビジネスなら成り立ってしまうわけです。
つまり、起業というゴールは大きく見えても、最初の一歩はほんの小さな行動なのです。怖くない程度の一歩です。
こういう小さなステップを刻んで夢に近づいて行く考え方を「階段思考」と名づけました。
この「階段思考」で行動すれば、自然に夢に近づいていきます。

 

 

めざせ年収1000万! 起業は「臆病」なほうがうまくいく?

 

 

 

「今、辞表を出したら、明日からの生活が……」

起業の話をすると、
「今、辞表を出したら、明日からの生活が……」
という極端な反応の人も少なくありません。
当然のことながら、今すぐ会社を辞めようと言っているわけではありません。辞めるのは目処が立ってからで大丈夫です。
ただ、「あと3年で起業する」などと目標を立てれば、今日からの行動が変わるのではないでしょうか?
街中でどんなビジネスが流行っているのか? どういう広告が効果があるのか? 仕入れはどうやっているのか? さまざまなことにアンテナが立ってきて、情報収集をするようになるでしょう。自分に足りない知識やスキルを身につけようともするでしょう。
今いる場所でできることはたくさんあります。今できることを、使える時間で少しずつ行動していけば、少しずつ近づいて行きます。

 

 

 

どんな壮大な夢にも「最初の一歩」があるはず

「新宿に餃子のお店を出したいんです! お店を出すには1,000万円ぐらいかかるんです。でも、今の自分にはお金がなくて……」
ということで、何も進まない人もいます。
本当に手詰まりでしょうか?
そんな事はありません。ここでも「階段思考」で考えてみましょう。
たとえ、世界中にチェーン展開するという壮大な夢だとしても、今日やれることがあります。それは、自宅のキッチンで餃子をつくることかも知れません。材料がなければ買ってくるところからスタートです。
家族や友達に食べてもらって、美味しい餃子を作り上げてみてはどうでしょうか。味に自信がついてきたら、なにかのイベントで売らせてもらっても良いかも知れません。


評判が良ければ、車をレンタルして移動販売もできるでしょう。それで利益が出て貯金ができてきたら、ようやく1店舗目のお店を出せば良いのです。
こうやって今できることから始めて、理想の未来が近づいてくるわけです。
たとえ小さくても、行動すれば経験が積めるし人脈もできます。そして、次の一手が見つかります。


会社の仕事すべてが

会社の仕事すべてが「練習の場」になる!

ステップを小さく刻んで、今できることからスタートすれば良いと気づいたら、とたんに会社が「練習の場」に見えてきます。
ビジネスに必要なさまざまなスキルは、会社の中で身につけるのが最も効率的です。
マーケティングを学ぶことや、会社のお金で試すこともできます。客先や社内のプレゼンは格好のトレーニングだと思えてきます。ITスキルも会社の環境の中だと勉強しやすいかも知れません。
「練習の場」だと思うと、状況が客観的に見られます。いちいち落ち込むことなくいろいろ試せます。しかも、リスクなく試せるところが素晴らしいところです。

 

「そんな時間はない!」という人は、どうすればいい?

毎日残業で、自分のビジネスのための時間が取れないという意見は頻繁に聞きます。
「時間がない」という人の頭の中には「何時間もやらないとダメだ」という意識があるのかもしれません。
しかし、週末に丸1日時間を取っていても、集中できるのはほんの数十分ということは良くあります。結局は疲れていたり、ずるずるとネットサーフィンをしてしまったりして、いつの間にか時間を使ってしまうのです。時間についても「階段思考」で少しずつがオススメです。
たとえば、1日30分だけ作るのであれば、それほど難しくないと思います。
それを毎日やれば、たまに何時間も取るより進みます。そもそも、人間の集中力はそれほど長くは続かないので、30分ぐらいがちょうど良いわけです。
できれば出社前がオススメです。仕事の後だと疲れてやる気が落ちるからです。早朝の自宅でも良いですし、30分早く家を出て、会社の近くのカフェで作業をするのも良いと思います。
毎日少しずつ進んでいる時は、とても気分が良いので、ぜひ試して実感してみて下さいね。

 

 

「起業家人脈」を作ることは、起業をしなくても役立つ

「何も起業のアイデアがない」「何から始めればいいかわからない」「そもそも起業するかどうか決めていない」という方も、とりあえず可能性を広げておくのは良いことだと思います。
たとえば、社外で起業家の知り合いを作るところから世界を広げてみてはいかがでしょうか。そういう人たちが集まる交流会や勉強会に行って、少しずつ知り合いを増やしていくだけで、だんだんとその世界にも慣れてきます。すると、みんな普通の人だということが実感できると思います。
そこではネットや書籍では伝わってこない、生の情報が得られます。何倍もリアルで実践的な知恵がそこにはあります。 具体的なビジネスの進め方や、最初の一歩が見えてきます。


一番の学びかもしれないのは、すでに起業している人たちが、物事をどのように受け止めているかを知れるということです。
成功している人ほど、すべてを肯定的に捉え、すべてを機会にしようという姿勢を持っていることに気づくと思います。
その姿勢だけでもマネしてみたら、起業は先だとしても、 社内の成果がグンと高まるかも知れません。

 

今井孝(キャリッジウェイ・コンサルティング代表)

  

PHP Online 衆知(THE21) 1月21日 